氷塊の上の檻 その中に 一つの曝れ髑髏が座っていて
その上には 足を伸ばした蠅の死骸がある
辺りに生えている 一輪の 真っ黒な薔薇は
とげを ぎらりと 光らせている
降り続く 雨の中で たった今 一個の曇った金剛石が
虚しく 砕け散った
扉を開けると 真っ赤な業火が 燃えていて
雪崩の中で その焔を 蠢かせている
南極の氷に ぽっかりと穴が 口を開き
その中に 朽ちてゆく
曇りガラスの破片が 三つ四つ
先程まで 花を咲かせていた椿
首を落として 静かに 佇んでいる
その中には どろりとした 赤黒い 血液が流れ
止まることを知らずに 静かに 腐っていった
空間の中を 一筋の つむじ風が
通り抜けようとするけれど
柵に邪魔されて 渦を巻いているばかり
嗚呼一体何なのか
足元に広がる 真っ青な世界よ
お願いだから そんな|表情《かお》をしないでおくれ
大人しく箱の中にでも 入ってくれないか
押し潰された心臓を 鴉に 突かせている間
虚ろな目に色々なものが 映っては 消えてゆく
戯れている内に 糸を首に巻き付け
死骸となった 真っ黒な猫
タイヤに巻き込まれ 八つ裂きにされた犬
太陽に焼かれた 飛蝗
彼らは 一体 白く濁った目で
何を見ているのだろうか
首を吊っている 照る照る坊主を
指先で つまみながら
ぼんやりと 考え事にふける
軽く見て 残った 一かけらの肉片を
鴉が喰い終えた時なのか それとも
重く見て 地面が なくなった時なのか
己の存在を知るのを
自覚出来る時が来るのは……
出来たら 扇風を今日にして 全部吹き飛ばしたい
滝で 全てを 押し流したい
アイスピックで 叩き割れば 少しは
気楽になれるのだろうか
嗚呼 何とかして この
どろどろとした 空間から この泥沼から
抜け出したいものだ 早く
その上には 足を伸ばした蠅の死骸がある
辺りに生えている 一輪の 真っ黒な薔薇は
とげを ぎらりと 光らせている
降り続く 雨の中で たった今 一個の曇った金剛石が
虚しく 砕け散った
扉を開けると 真っ赤な業火が 燃えていて
雪崩の中で その焔を 蠢かせている
南極の氷に ぽっかりと穴が 口を開き
その中に 朽ちてゆく
曇りガラスの破片が 三つ四つ
先程まで 花を咲かせていた椿
首を落として 静かに 佇んでいる
その中には どろりとした 赤黒い 血液が流れ
止まることを知らずに 静かに 腐っていった
空間の中を 一筋の つむじ風が
通り抜けようとするけれど
柵に邪魔されて 渦を巻いているばかり
嗚呼一体何なのか
足元に広がる 真っ青な世界よ
お願いだから そんな|表情《かお》をしないでおくれ
大人しく箱の中にでも 入ってくれないか
押し潰された心臓を 鴉に 突かせている間
虚ろな目に色々なものが 映っては 消えてゆく
戯れている内に 糸を首に巻き付け
死骸となった 真っ黒な猫
タイヤに巻き込まれ 八つ裂きにされた犬
太陽に焼かれた 飛蝗
彼らは 一体 白く濁った目で
何を見ているのだろうか
首を吊っている 照る照る坊主を
指先で つまみながら
ぼんやりと 考え事にふける
軽く見て 残った 一かけらの肉片を
鴉が喰い終えた時なのか それとも
重く見て 地面が なくなった時なのか
己の存在を知るのを
自覚出来る時が来るのは……
出来たら 扇風を今日にして 全部吹き飛ばしたい
滝で 全てを 押し流したい
アイスピックで 叩き割れば 少しは
気楽になれるのだろうか
嗚呼 何とかして この
どろどろとした 空間から この泥沼から
抜け出したいものだ 早く