序文

 ここに断言することによって、何かが得られるというのならば堂々断言してみせよう。今の今まで私はまともな夏と言うものを経験したためしがない。
 人々は数多の歴史を重ね、知恵を重ね、子供を学問に突っ込む。丸腰で学問と殴り合った我々は、「夏休み」「冬休み」「春休み」という三つの中間で鋭気を養うものだけれど、腐った根性を持った私のような男や、女は鋭気を養うどころか死にかける。
 それではあまりにも不平等じゃないか! 不平等反対!
 などと我々が叫びを挙げたところで、腐っていないつるつるぺかぺかの根性を持った奴らは見向きもせずに、夏休み期間を経て立ち上がってみせる。
 私には、それが理解不能だった。
 嗚呼、夏よ。何故お前は私をそこまで傷つけるのだ。
 夏が答えたような気がした。
「ワタクシ、貴方が嫌いなのです」
 ああ、しょうがない! 私もお前が大嫌いだ!