「ゆ、ユウキ......これは......」

目の前に広がるのはファンタジー。
ケモミミに尻尾の獣人。大きいとんがり帽子の魔女。大剣を背負った男。

は?

いやいやいや。おかしいだろ。
と、とりあえず隣にいるユカ。彼女に確認しなければ。

「なぁ、ユカ。俺たちはデートの帰りにでっかい穴に落ちた。間違いないな?」

「間違いないけど......いや間違いないんだけど。どゆこと!?」

「すまんわからん!!」

何がどうなってこうなった!
俺も異世界ファンタジー系のラノベは好きだ。
ただこの状況をあの主人公達はどうやって信じた!?
スゥ......

「信じられるわけがあるかああああああああ!!」

「ビクッ!?」

「はぁ。はぁ」

落ち着け俺。彼氏なら落ち着いて彼女を導き安心させる。それが第一だろう。
スゥ……

「無理だああああああああああああああああ!!」

「ッ!?落ち着けユウキ!?」

よし。吐くだけ吐いた。とりあえず自分たちに何があったか思い返そう。

「ユカ。俺たちにあったことをもう一度確認しよう。何か見落としているかもしれない」

「うん。わかった......落ち着いたんだ」

二人で話し合った結果。特に見落としはなかった。
ちなみに、何があったかというと......

さっきまで?俺たちはゲーセンデートを終え、家に帰っていた。

「今日は楽しかったね!ユウキ!」

「そうだな。でも次は少しお金を使いすぎない様にな?」

「う、うぅ......」

外はもう暗く、危ないので俺がユカを家まで送ることになっていた。

「でっ!でもユウキがこのぬいぐるみとってくれたから良いの!」

そして......

「ハハハッ!まぁ楽しかったから良いとしよおおおおおおおおおお!?」

「きゃあああああああああああああああ!?」

大きな底無し穴に落ちて、今にいたると。

「どうやら......本当に異世界に来たみたいだな」

「そうだね......本当にあったんだ。異世界」

とりあえずギルド的なのを探すか......
急いでこの世界の通貨を確認して宿を取れる様にしないと。
ユカを野宿させるわけにはいかない。

「ユカ。異世界の知識、というか理解はどのくらいあるんだ?」

「ん〜ラノベをちょくちょく読んでるからそこそこかな」

「よし。じゃあギルド的なのを探しに行こう」

「ん。そうしよう」

ユカを野宿させないため、それとこの異世界を攻略するために俺たちはギルド探しに出発した。