3話 嘘。初めての依頼

自分のスキル『下克上』をユカに話した。
その時に絶対に隠し通してと頼まれたので、職員の人には悪いけど嘘をつかせてもらおう。

「あ、あの〜スキルの詳細はわかりませんでした」

「そうですか......何かの故障しているかもしれませんね......」

よかった。バレると思ってたけど意外と大丈夫なもんだな。

「今悩んでもしょうがなさそうですね。では冒険級について説明します」

「はい」

冒険級か、ユカが言われてた英雄級みたいな物だろうか。

「冒険級には下から、初級・中級・上級・勇級・英雄級があります。そして例外に......強すぎると異常個体という枠がありますが、ほとんどないので気にしないでください」

「さ、最後のって強すぎるスキルとかも含まれるんですか?」

「含まれますが、何か心当たりでも?」

「なななないです!」

どどどどうにかして話を変えよう!!
そうだ!い、依頼だ!

「じゃ、じゃあ俺たちは依頼を受けてみたいんですが......」

「わかりました。依頼は好きな張り紙を持ってきてもらうことになりますが、先にこれをお受け取りください」

そう言われ、手のひらサイズの薄い長方形の水晶を渡された。
俺が言おうとしたことを先にユカが聞いた。

「これはステータスプレート?」

「そうですね。基本的にはそうですが、正確にはステータスディスプレイと言います。略してステレイと呼ばれているそうです」

「どんな効果があるの?」

「冒険者情報、倒したモンスター、ステータス、依頼の完了の知らせ。以上のことが表示されます。身分確認にも使用可能ですので、大切に保管しといてください」

「「わかりました」」

「では、依頼はロビーの掲示板にあります。ぜひお受けください」

俺たちはその場を去り、依頼を受けるべく掲示板に向かった。

「なぁユカどれがいいと思う?」

「そうだねぇ......迷うなぁ」

張り紙に書いてあることは4つ。

依頼達成条件

期限

報酬

場所

が書いてある報酬は平均1000ほど。この世界での通過は『アマ』と言うらしい。

「ユウキ〜!これなんてどう??美味しそうじゃない?」

そう言ってユカがある依頼を見せてきた。

「スライム3匹の討伐......報酬20000!?」

スライムといえばRPGなどのゲームに出てくる雑魚。そんな雑魚に20000か?それだけあれば昨日のメニューでみた超高級ステーキが何個食えることか......

だが、甘い話には裏がある。

大方。この世界のスライムはめちゃくちゃ強いとかそこらへんだろ。
ふともう一度依頼を見た。


そこに載っていた文字は......『対象・英雄級』


まずい!!

「ユカッ!!そのいらー」

「ユウキ〜!!受けてきたよ〜!!」

…...この世界では受けた依頼のキャンセルはできない。

「......ユカ。下を見てみろ」

俺の言葉にユカは依頼の下の方をみる。

「場所......対象、英雄きゅ......う?」

その後の沈黙は、10分ほど続いたという。