あなたは幸せですか?

「まって、いかないで……ねぇってばぁ」  
 彼女は何度も叫ぶ。けれども、彼女の叫びはむなしく数秒に一回、妹達が打ち出されていく。
 彼女は考えた。
 
「私はただの鉄屑。けれども妹達を守るにはただの鉄屑のままではいけない」
 
 彼女の体は彼女自身の意思で動かすことができない。生まれたその瞬間から神様のもとで働くことが決められている。

 神様が神様を傷つけるために使われる。彼女自身の意思で運命を変えることはできない。
 そんな彼女が意思を持ち、彼女自身の運命を変えるために、ねじ曲げようと、動き出した。


 
 爆音が鳴り響く。
「Go fuck yourself ! (くたばりやがれ!)」
 彼は地面に寝っ転がりながら照準を定める。
「Oh shit, I've missed. (くそっ、ミスった)」
 彼は舌打ちをしながら、空になった薬莢を捨てて新しい薬莢を装填する。何回も何回も繰り返す。

 ーー数分後

   ガチャ、ガチャガチャ。
 彼はトリガーを何度も手前に引くが反応しない。まるでそのものが手前に引っ張る行為を阻止しているような感覚に襲われる。

 彼が持っているサイズの薬莢があうのはただひとつ。今手にしているものだけ。   
「What tha fuck ! It won't work. (ちきしょう、壊れてやがる)」

 彼は逃げることが叶わないのは分かっていながらも、少しでも軽くするために腰につけた薬莢を地面に捨てる。
 手に持ったそれを彼は少し眺めながらも地面に叩きつけた。 叩きつけられたそれは喜びに心を震わせたかのようだった。


ーー 今も世界のどこかで一丁の銃と薬莢達が仲良く眠っている。